遺言・相続
WILL/INHERITANCE
遺言とは?
1.自筆証書遺言
遺言者自身が全文を自筆で書いた遺言書です。自分で気軽に作成できる一方で、要件を満たしていないと無効になるおそれがあります。
メリット
自分で作成できる、費用がかからない、遺言の内容を秘密にできる。
デメリット
要件を守らないと無効になる、紛失や死後に見つけられないおそれ、書き換えや隠蔽のリスクがある。
法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」もあります。
2.公正証書遺言
公証役場で公証人の前で作成する遺言書です。厳格な要件を満たす必要がありますが、信用性が高い遺言書とされています。
メリット
正式な手続きで作成できる、信用性が高い。
デメリット
費用がかかる、公証人の予約が必要。
3.秘密証書遺言
他人に知られずに作成する遺言書で、秘密に保持されます。自筆証書遺言と似ていますが、公証人の前で作成しないため信用性は低いです。遺言書を作成する際には、遺言者の意思を明確にし、法的要件を守ることが重要です。
相続とは?
相続
相続は、被相続人(亡くなった人)の財産上の権利義務を承継することです。相続人は、配偶者や子どもなど一定の身分関係にある人です。
相続の開始
相続は被相続人が死亡した時点で開始します。自然的な死亡だけでなく、失踪宣告や認定死亡などの法律上の死亡も含まれます。
遺産分割
遺言書による指定、遺産分割協議、遺産分割調停の3つの基本的なルールがあります。遺言書がある場合はその内容が優先されますが、ない場合は相続人同士の協議や裁判所の調停により遺産を分割します。
相続の対象となる財産
【プラスの財産】
現預金や不動産、有価証券、自動車、家財などの資産。
【マイナスの財産】
負債、未払税金、未払費用などの債務。
【相続の対象外】
生命保険金、死亡退職金、墓地、仏壇などは相続の対象外です。
相続人(誰が遺産を相続するのか?)
法定相続人: 民法で定められた被相続人の配偶者、子ども、両親、兄弟姉妹など。 受遺者: 遺言書によって指定された遺産の受取人。 遺言書がある場合は遺言による相続が優先されますが、ない場合は法定相続に従います。 相続はもめごとが起きやすい問題でもあります。遺産の取り扱いを理解し、早めに対策を立てることが大切です。
遺産分割協議とは?
遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。亡くなった被相続人の遺産は、相続人全員の共有となります。
(民法898条)
遺言書がない場合や遺言書に従わずに遺産を分けたい場合など、遺産分割協議が必要になるケースがあります。
遺産分割協議には、相続人全員の参加が必須です。
遺産分割には特定の法律上の期限はありませんが、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税申告を行う必要があります。
10ヶ月以内に遺産分割が終わらない場合、暫定的に法定相続分による相続税申告を行い、後に修正申告や更正の請求によって相続税の精算を行います。
遺産分割をせずに放置すると、共有状態の遺産は活用しづらくなり、一部の相続人が遺産を使い込むリスクが生じます。
相続税に関する特例を受けられなくなる場合もあるので、早い段階で遺産分割協議を開始することが重要です。
遺産分割協議の進め方
遺言書の有無を確認する
亡くなった人が遺言書を残しているかどうかを確認します。
相続人を調査・把握する
相続人全員の参加が必須です。戸籍資料から相続人を調査・把握します。
相続財産を調査・把握する
遺産の把握漏れを防ぐために相続財産を調査・把握します。
遺産の分け方を話し合う
相続人全員参加のもと、具体的な遺産の分け方を話し合います。
合意が成立したら遺産分割協議書を作成する。
遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書は、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。
法的に作成義務はありませんが、遺産分割に必要な書類とされています。
口頭だけで成立する遺産分割協議でも、後々のトラブルを避けるために作成することが推奨されます。
不動産や車、預貯金などの名義変更の手続きには遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書は上記の遺産分割協議がまとまった時点で署名・押印(実印)し作成します。